増野鼓雪と天啓

増野鼓雪の書き残した文章を通じて真実の天啓を探求していく

教祖略伝 神懸(三)

f:id:kosetu-tenkei:20210817100113j:plain10月26日夜、約束の年限に至り十柱の神々が教祖に次々と神懸り、くにとこたちの命からいざなみの命までその守護と働きを宣託しながら天降られ、遂に人類の表に出現した

夫善兵衞殿もこれはと驚かれたが、妻は四人の母で乳呑子もあること故、御辞退を願うと、神の要求を拒絶せられた所、神の命に背けば一家断絶させるが承知か、との厳かなる神命であった。

この不思議な事件の報知に接し、親戚の人々より知己の人々まで集まり、神命を如何にすべきやと評議せられたが、重ねて退散を乞うにしかずとて、善兵衞殿より再び、卑しき百姓家より他に結構な家が沢山あれば、他家へ御降りを願うと乞われた。然るに教祖は、屋敷の因縁、身の因縁、旬刻限を見て天降った。決して退散する神に非ずとの仰せであった。

二十四日より二十六日まで、三日の間神と人とが押問答を続けられたが、その間教祖は一滴の水も一粒の飯も召されず、昼夜厳然と端座して、神命遂行の任に付かれていた。

その有様を見るに堪へ兼ね、二十六日の朝五ッ時に、夫善兵衞殿より神様の仰せ通り従うべき旨を答へられた。

 時に教祖は夢に醒めた如く、平常の教祖に復したまい、秀司殿の足痛も、夫善兵衞の眼疾も、嘘の如く平癒したので、何れも不思議の感に打たれたのである。

その夜、教祖の寝室の天井で、突然大きな物音がした。不図教祖が目を醒まされると、身が何かに圧せられるが如く、重く感ぜられると、我は国常立命であると仰せられ、又次の神が懸られるという様に、十柱の神々が順次天降られた。

この天保九年十月二十六日は、本教立教の第一日であるが故に、毎年秋季の大祭は、この日を以て執行せられるのである。

 

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