増野鼓雪と天啓

増野鼓雪の書き残した文章を通じて真実の天啓を探求していく

教祖略伝 苦悶(五)

 

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中山家

斯くの如き道筋を通りて、やがて田地の一部を売り払われたが、更に教祖は本宅を売り払うことを乞われた。夫善兵衞氏もあまりの事と、神様の思召でもそうはお請け出来ぬと、断然と断られた。しかるにその夜突然発熱して、教祖は大病人となり、俄に痩せ衰へられた。夫もこの様子を見ては、打ち捨て置かれずと、直ちに神命に従う旨を答へられると、三日目には全快せられて常の情態に復せられた。

本宅を売却する為、建物を取毀ちにかかられた日、教祖はこれから世界の普請に掛かる、こんな目出度いことはない、皆様祝うて下されと、手伝人に酒肴を出された。

嘉永六年春二月、中山家が斯く一歩一歩谷底へ落ちて行く真盛りに、四十四年の間連れ添われた善兵衞殿は、六十六歳を限りとして、黄泉の客となられたのである。教祖は恩愛の情を移して、神意の遂行を以て、その供養に代へんと勤しみたもうた。

 

※元の神、実の神々と出会う処ふるのさとへ!