増野鼓雪と天啓

増野鼓雪の書き残した文章を通じて真実の天啓を探求していく

根を掘れ(一)

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一本の樹木に致しましても、人間の眼に見える所は僅かに幹から上で、その根は地下に埋もれて居て、見えないものであります。然し木の養分の大部分は、この根から吸収せられて、その枝葉が繁茂して行くのでありますから、草木に取っては、根は何より大切ものであります。然し多くの人は、その根に注意せないで、枝葉のみ栄えささうと思うから、間違い生じるのであります。

植木屋はこの理合をよく知って居りますから、木が弱って来たら、直ちにその枝葉を刈り込むのであります。左様すると枝葉に行くべき力が、根の方にまはるから、根に力が出て来るのであります。そしてその翌年芽を吹かすと、今度は勢いの好い新芽が出て来るのであります。御道の手入れ仕込みというのもやはりこれと同じで、その根である心を、強く張らす為に外ならないのであります。それを神様は、根差しの好いものは、芽出しが好いと仰せられたのであります。

これは樹に例へての話でありますが、人間に取って根となるべきものは心であります。その心が弱かったら、その根が枝葉の栄えるのを受け止める事が出来ない様に、心が弱ってしまうのであります。故に何よりこの心、即ち根をしっかりさせて行かねばならぬのであります。

所が世界の人は、心が人間の為す事一切の根である事に、気が付かんのであります。だから何事をするにも、この心と云うものを等閑にして置くから、間違いが生ずるのであります。例へば商売を始めるに致しましても、是だけの資本があれば、是だけの利益があるという様に、算盤の上のみで考へるので、この心とういうものを算用の中へ入れないのであります。所が事実に当って見ると、資本を運用して行くのは人間でありますから、その運用者である人間に心が、怠慢であったら利益を得る所が、却って失敗して損をしなければなりません。所が我が心が其の仕事の上に、何処までの精神を持ってするか、その根本を定めて置かずに、資本があれば独り商売が出来る様に思うてやり始めるから思う通りの結果を見る事が出来ないのであります。

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 10月26日秋の大祭記念十柱の神の御心と御守護